読書百景

小学館のWEBメディア「読書百景」|紙、電子、点字、オーディオブックなど、本の味わい方は人それぞれ。これからの読書のかたちを提案します|ノンフィクション、エッセイのほか新刊情報も|毎週月曜、時々金曜更新|お問い合わせ→http://p.sgkm.jp/dokushohyakkei

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    紙の本、電子書籍、オーディオブック、点字…本の味わい方は人それぞれ。これからの読書のありかたや、読書バリアフリーに関する話題を発信します。

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    本連載は、上海在住経験があり、民主化デモが吹き荒れた香港のルポルタージュなどをものしてきた西谷格氏による、中国・新疆ウイグル自治区の滞在記です。少数民族が暮らす同地は、中国当局による監視が最も厳しい地として知られています。

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記事一覧

愼允翼さん「本は”孤独”に読みたいけれど」ルポ 読書百景 #4前編

鈴木成一と本をつくる#3 「感性を磨け。自分が喜ぶものに触れよ」

鈴木成一と本をつくる#2 「デザイナーには勇気も人徳も必要である」

アンナ・ツィマ「迷い姫」 ニホンブンガクシ 日本文学私 #3

水谷竹秀「旅館をはじめる」 叫び リンちゃん殺害事件の遺族を追って #2

佐木理人さん「障害は“持つ”か、“ある”か」ルポ 読書百景 #3後編

愼允翼さん「本は”孤独”に読みたいけれど」ルポ 読書百景 #4前編

「本を読む」という行為の持つ意味 東京大学大学院でフランス文学を専攻、思想家のジャン=ジャック・ルソーなどの研究をしている愼允翼さんは、難病の「脊髄性筋萎縮症(SMA)」を患っている。この病気は全身の筋力の低下によって体が動かなくなるもので、普段の生活では24時間の介護が必要だ。彼は右手の先以外が自由に動かせないため、日常生活では20人ほどの介助者がシフト制で彼の介助を行っている。  その日、愼さんへのインタビューは、陽当たりのよい屋外のテラス席で行われた。彼には2人の男性

鈴木成一と本をつくる#3 「感性を磨け。自分が喜ぶものに触れよ」

イラストとタイポが殺し合わないために  梅雨の湿気と連日の猛暑にうんざりな7月上旬だったが、この日は若干暑さが和らいだように感じる。前夜に続き、下北沢の本屋B&Bでは鈴木成一による「超実践 装丁の学校」が開かれた。   今夜は「ラフ講評」後半戦だ。初回講義からわずか2週間余りだったが、どのプランにも試行の跡と、自信の一端が刻まれていた。それに対して鈴木は真摯な批評と的確なアドバイスを打ち返し、発表者たちを静かに鼓舞するのだった。  この夜も、まずはミニ講座からスタートする

鈴木成一と本をつくる#2 「デザイナーには勇気も人徳も必要である」

くちびるを固く結びながら「このデザインは買うに値するのか?」 「イラストとタイポ(グラフィ)が殺し合ってるよ」 「これじゃ、わけがわからないと思うな」  受講生たちの装丁案が次々と講評されていく。その批評は端的で鋭い。前回授業から2週間、受講生たちが愚直に課題作品『誘拐ジャパン』(横関大・著)と向き合い、練り上げられたデザイン案が丸裸にされていく。その光景に、取材者の私までたじろいでしまう。もしもライターで生業をたてる自分の文章が、大勢の前でこんなふうに評されたら・・・・・

アンナ・ツィマ「迷い姫」 ニホンブンガクシ 日本文学私 #3

ベルリンの朗読会  私のデビュー作、『シブヤで目覚めて』の最初の翻訳はドイツ語版だった。2019年にそれが出版された際、私は夫と2人でベルリンに赴くことになった。出版社のオーナーに誘われたのだ。同社はけっして大手ではない。数人の文学愛好家が夜も寝ずに必死に小説を訳したり、編集したりしているような印象が強かった。東ドイツ生まれのオーナーは社会主義時代にチェコスロバキアを何回も訪れ、禁断のライブに参加したり、お酒を飲んだりしていたらしい。とにかくチェコに強い関心を持ち、ベルリン

水谷竹秀「旅館をはじめる」 叫び リンちゃん殺害事件の遺族を追って #2

賠償金が支払われず  古びた事務所の奥に、ポストカードサイズの写真が立て掛けられていた。   そこには当時、5歳のリンちゃんが紺色の帽子をかぶり、上目遣いに微笑む姿が写っている。父のハオさん、母のグエンさんと一緒に東京タワーを訪れた時の一枚だ。遺影の周りには小さな仏像や香炉が並び、簡易祭壇のようになっている。  6月半ばのその日、私は福島県二本松市の岳温泉にいた。閉館された温泉旅館で、額に汗を浮かべながら地道な作業を続けていた。タイルカーペットの寸法を測り、カッターで切

佐木理人さん「障害は“持つ”か、“ある”か」ルポ 読書百景 #3後編

 点字毎日の記者である佐木理人さんが、毎日新聞社に入社したのは2005年のことだった。高校を卒業後、一浪して外国語大学で英語の文法を専攻した佐木さんには、研究者の道に進みたいと考えていた時期もあった。だが、大学院の修士課程でその道は諦め、社会に出てからは障害者の地域生活を支援するカウンセラーや、大学・専門学校で点字の授業の講師をするようになったという。(取材/文・稲泉連、撮影・黒石あみ)  触読校正の面白さ 私は30歳を過ぎるまで、いくつかの仕事を掛け持ちしていました。その