アンナ・ツィマ「アフター読」 ニホンブンガクシ 日本文学私 #2
再読で〈読み返る〉
初読は二度と繰り返せない。それゆえ自分が好きな本をまだ読んでいない相手が羨ましい。今読んでいる本を終わらせたくないと感じたりもする。
初読は冒険的だ。一方で私は〈再読〉も魅力的だと思う。久しぶりに小説を読み返すとき、頭の中に浮かんでくるのは小説の登場人物やスト―リーの出来事ではなく、昔の自分に他ならない。初めて読んだ頃の気持ちやムードは勿論のこと、文学に全く無関係なこともよく浮かびあがる。当時住んでいた地の風景、学校や仕事への通い道。読んだ時期