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ノンフィクション

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ルポルタージュや調査報道など、取材を伴う作品を中心にアップします。
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記事一覧

村上千佳(助産師)×コンゴ「豊穣な大地ゆえに人びとは血を流す」紛争地の仕事 #3前…

全派遣18回  彼女は取材場所に、着物姿で現れた。  2024年7月上旬、国境なき医師団(MSF)…

読書百景
2か月前
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今村剛朗(救急医)×パレスチナ・ヨルダン川西岸地区「医療妨害は本当に起きていた」…

救えない命はある  研究や公衆衛生を含め、医師として様々な顔を持つ今村だが、臨床において…

読書百景
4か月前
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水谷竹秀「変わり果てた同級生を想う」 叫び リンちゃん殺害事件の遺族を追って #4

 7年前、起きたこと  彼らは今、7年前に起きたあの日のことをどのように受け止めているのだ…

読書百景
1か月前
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村上千佳(助産師)×コンゴ「レイプは戦争の武器である」紛争地の仕事 #3後編

女性たちを「家族の恥」に  MSFの助産師・村上千佳によれば、兵士らが女性に性暴力を働くの…

読書百景
2か月前
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鈴木成一と本をつくる#5後編 「叩かれれば叩かれるほど鍛えられていく」

タイトルは発明である  この夏の東京は、強烈な雷雨に見舞われることが多かったが、この日も…

読書百景
2か月前
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鈴木成一と本をつくる#5前編 「みなさんの装丁をいろいろイジりたおしてきましたけど…

ついに最終授業!  30年以上にわたって1万冊超の本を装丁してきたブックデザイナー・鈴木成…

読書百景
2か月前
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水谷竹秀「なぜ遺族の肉声を伝えなければならないのか」 叫び リンちゃん殺害事件の遺族を追って #3

インタビューは滞る 「私の娘は殺されました」  目の前にいる人がそんな過去を持っていたら、どんな言葉を掛けたらいいだろう。  ハオさんとの出会いを機に、遺族感情の複雑さについて考えるようになった。その他いくつかの事件の遺族にも取材を重ねた。あれから6年が経つが、その問いに対する答えは未だに見つかっていない。そもそも正解なんてないだろう。ただ、決めていることがひとつだけある。 「お気持ちはわかります」  とは決して言わないことだ。話の内容は理解できても、気持ちまでわか

鈴木成一と本をつくる#4 「ブックデザインとはなんぞや」

オビはチラシではない 鈴木成一の「超実践 装丁の学校」も、初回からはや1ヶ月が経った。もの…

読書百景
3か月前
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鈴木成一と本をつくる#3 「感性を磨け。自分が喜ぶものに触れよ」

イラストとタイポが殺し合わないために  梅雨の湿気と連日の猛暑にうんざりな7月上旬だった…

読書百景
3か月前
27

鈴木成一と本をつくる#2 「デザイナーには勇気も人徳も必要である」

くちびるを固く結びながら「このデザインは買うに値するのか?」 「イラストとタイポ(グラフ…

読書百景
3か月前
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水谷竹秀「旅館をはじめる」 叫び リンちゃん殺害事件の遺族を追って #2

賠償金が支払われず  古びた事務所の奥に、ポストカードサイズの写真が立て掛けられていた。…

読書百景
4か月前
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鈴木成一と本をつくる#1「装丁において繰り返し使える方法はない」

かたちある本の魅力と可能性 継承が難しい時代だ。  日々猛スピードで技術が更新されていく…

読書百景
4か月前
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今村剛朗(救急医)×パレスチナ・ヨルダン川西岸地区「医療妨害は本当に起きていた」…

水を打ったような静けさ   2024年4月26日、大阪市中央公会堂の大会議室は満席だった。救急…

読書百景
4か月前
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水谷竹秀「プロローグ」 叫び リンちゃん殺害事件の遺族を追って #1

プロローグ  暗闇の中に慟哭がこだましていた。  一人の男が悶え苦しんでいる。ノートパソコンのスクリーンには真っ暗な画像だけが映し出されており、時折、天井に取り付けられた蛍光灯がぼやけて見える。音声はベトナム語のようだが、私には何を言っているのかさっぱり理解できない。画像の下のほうには字幕が表示されていた。 リンちゃんの父:父は無力でした。リンちゃんごめんなさい。リンちゃんはとても愛しています。 リンちゃん:痛いの声が出ました。うううううう、あああああ リンちゃんの父