読書百景
紙の本、電子書籍、オーディオブック、点字…本の味わい方は人それぞれ。これからの読書のありかたや、読書バリアフリーに関する話題を発信します。
本連載は、上海在住経験があり、民主化デモが吹き荒れた香港のルポルタージュなどをものしてきた西谷格氏による、中国・新疆ウイグル自治区の滞在記です。少数民族が暮らす同地は、中国当局による監視が最も厳しい地として知られています。
編集者のつぶやき、ぼやきを中心に綴っています。
ご自身の経験や研究に基づく作品を中心にアップしています。
ルポルタージュや調査報道など、取材を伴う作品を中心にアップします。
読売新聞の論説委員を務める清水純一さんは、朝刊一面の名物コラム「編集手帳」の執筆者である。約460文字のスペースで社会事象を鮮やかに評することもあれば、蔵書から抜き出した箴言を世相に当てこむこともある。「読むこと」「書くこと」のプロである彼は、自身の若い頃を振り返るとき、「本がどうしても読めない」というコンプレックスを抱えていた時期があったという。 「本だけではなくて、若い頃には文字を読むのに、すごく苦労する子供だったんです。例えば、国語の教科書を読んでいても、どうしても頭
昨日、ついに鈴木成一さんの「装丁の学校」(本屋 B&B)が開講されました。初回から”超実践”です。前置きの概論はそこそこに、課題として事前に渡したゲラについて受講生が現時点の装丁イメージを発表、それに対して鈴木さんが個別にコメントを出していきました。両者の緊張感漂うやりとりは、後日、お届けする連載「鈴木成一と本を作る」にて、詳細を紹介します。 ところで、装丁家はどのように本のデザインを決めるのでしょう。手がかりとなるのは作品そのもの。鈴木さんは、編集者との打ち合わせ前に
再読で〈読み返る〉 初読は二度と繰り返せない。それゆえ自分が好きな本をまだ読んでいない相手が羨ましい。今読んでいる本を終わらせたくないと感じたりもする。 初読は冒険的だ。一方で私は〈再読〉も魅力的だと思う。久しぶりに小説を読み返すとき、頭の中に浮かんでくるのは小説の登場人物やスト―リーの出来事ではなく、昔の自分に他ならない。初めて読んだ頃の気持ちやムードは勿論のこと、文学に全く無関係なこともよく浮かびあがる。当時住んでいた地の風景、学校や仕事への通い道。読んだ時期
装丁家・鈴木成一さんが”本気”で後進を指導する「装丁の学校」、そのプレイベントとなるトークショーが去る6月13日、本屋B &Bにて開かれました。 良い装丁とは何か。鈴木成一さんや、同じく著名なブックデザイナーの水戸部功さん、albireoさん(西村真紀子さん・草苅睦子さん)が実際に本を手にしながら、各々の装丁論を披露しあう濃密な時間でした。 終盤のQ&Aでは参加者から、装丁家が編集者に求める姿勢についての質問がありました。鈴木さんはずばり情熱ーーつまりは編集者はこ
プロローグ 暗闇の中に慟哭がこだましていた。 一人の男が悶え苦しんでいる。ノートパソコンのスクリーンには真っ暗な画像だけが映し出されており、時折、天井に取り付けられた蛍光灯がぼやけて見える。音声はベトナム語のようだが、私には何を言っているのかさっぱり理解できない。画像の下のほうには字幕が表示されていた。 リンちゃんの父:父は無力でした。リンちゃんごめんなさい。リンちゃんはとても愛しています。 リンちゃん:痛いの声が出ました。うううううう、あああああ リンちゃんの父
「ガザに帰りたい、帰らせてくれ」 西村崇には忘れられない患者がいる。 毎日、診察室に来ては泣いていた妊娠4ヶ月の女性だ。シエラレオネから来たという。彼女は性暴力被害者で、HIVに感染していた。経由地のトルコでは投獄され、暴力を振るわれていたのだという。服薬は投獄をきっかけに現在も中断されたままだ。お腹に赤ちゃんを抱えた身でどのように過酷なボートの旅を乗り切ったのだろうか。 キャンプの収容者に、HIV感染者は珍しくなかったが、いずれも万全な医療は提供されていなかった。