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連載

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エッセイやノンフィクションなど、連載作品をまとめました。ここに収録された作品は、いずれ単行本として出版する予定です。
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記事一覧

西谷格「110番したら54秒で警察はやってくる」一九八四+四〇 ウイグル潜入記 #2

◆1章 ウルムチホテルのフロントで  2023年7月、中国・天津の浜海国際空港から乗った奥凱…

読書百景
13日前
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村上千佳(助産師)×コンゴ「レイプは戦争の武器である」紛争地の仕事 #3後編

女性たちを「家族の恥」に  MSFの助産師・村上千佳によれば、兵士らが女性に性暴力を働くの…

読書百景
3週間前
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鈴木成一と本をつくる#5後編 「叩かれれば叩かれるほど鍛えられていく」

タイトルは発明である  この夏の東京は、強烈な雷雨に見舞われることが多かったが、この日も…

読書百景
1か月前
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鈴木成一と本をつくる#5前編 「みなさんの装丁をいろいろイジりたおしてきましたけど…

ついに最終授業!  30年以上にわたって1万冊超の本を装丁してきたブックデザイナー・鈴木成…

読書百景
1か月前
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村上千佳(助産師)×コンゴ「豊穣な大地ゆえに人びとは血を流す」紛争地の仕事 #3前…

全派遣18回  彼女は取材場所に、着物姿で現れた。  2024年7月上旬、国境なき医師団(MSF)…

読書百景
1か月前
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水谷竹秀「なぜ遺族の肉声を伝えなければならないのか」 叫び リンちゃん殺害事件の遺…

インタビューは滞る 「私の娘は殺されました」  目の前にいる人がそんな過去を持っていたら…

読書百景
1か月前
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鈴木成一と本をつくる#4 「ブックデザインとはなんぞや」

オビはチラシではない 鈴木成一の「超実践 装丁の学校」も、初回からはや1ヶ月が経った。ものすごい暑さと湿気に体力が削られる日々だったが、こうも気候が変わってしまうと、客足も伸びないだろうし、本にも悪影響だよなぁと、本屋 B&B(下北沢)に向かいながら、のぼせた頭でぼんやりと思う。  装丁の学校では、小学館から今秋刊行予定のエンターテインメント小説『誘拐ジャパン』(横関大・著)を題材に、実践的にブックデザインを教えている。最終講評で鈴木が最優秀作品に選んだデザイン案は、実際に

鈴木成一と本をつくる#3 「感性を磨け。自分が喜ぶものに触れよ」

イラストとタイポが殺し合わないために  梅雨の湿気と連日の猛暑にうんざりな7月上旬だったが…

読書百景
2か月前
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鈴木成一と本をつくる#2 「デザイナーには勇気も人徳も必要である」

くちびるを固く結びながら「このデザインは買うに値するのか?」 「イラストとタイポ(グラフ…

読書百景
2か月前
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今村剛朗(救急医)×パレスチナ・ヨルダン川西岸地区「医療妨害は本当に起きていた」…

救えない命はある  研究や公衆衛生を含め、医師として様々な顔を持つ今村だが、臨床において…

読書百景
2か月前
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今村剛朗(救急医)×パレスチナ・ヨルダン川西岸地区「医療妨害は本当に起きていた」…

水を打ったような静けさ  2024年4月26日、大阪市中央公会堂の大会議室は満席だった。救急医…

読書百景
2か月前
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アンナ・ツィマ「迷い姫」 ニホンブンガクシ 日本文学私 #3

ベルリンの朗読会  私のデビュー作、『シブヤで目覚めて』の最初の翻訳はドイツ語版だった。…

読書百景
2か月前
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水谷竹秀「旅館をはじめる」 叫び リンちゃん殺害事件の遺族を追って #2

賠償金が支払われず  古びた事務所の奥に、ポストカードサイズの写真が立て掛けられていた。…

読書百景
2か月前
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鈴木成一と本をつくる#1「装丁において繰り返し使える方法はない」

かたちある本の魅力と可能性 継承が難しい時代だ。  日々猛スピードで技術が更新されていく現代、プロフェッショナルの技と経験を、次世代に引き継いでいくにはどうすればいいのか。そもそも引き継いだところで未来でも役立つのか。心もとない。  継承の問題には、出版業界も悩まされている。この業界は極めて属人的な営みで成り立っている。ブックデザインや製本の現場においても、もちろん基本的なノウハウは共有されているが、ひとつひとつの本を作る過程に再現性はない。かつては、独自の技やノウハウも