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編集日誌 #1 はじめに

 紙の本、電子書籍、オーディオブック……読書の味わい方が多様化している時代。「読む」とは何か、そこにいかなる楽しみがあるか。その可能性をイチから考えるためのWEBメディア「読書百景」を、小学館は立ち上げます。

 背景にあるのが第169回芥川賞を受賞した市川沙央さんの『ハンチバック』(文藝春秋)との出合いです。市川さんは執筆にあたって、「私の懇願の手紙をスルーした出版界」への“怒り”が原動力となったと受賞スピーチで述べています。紙でしか読めない小説の電子書籍化を直接訴えた過去に触れ、アクセシビリティの充実を訴えたのです。

 出版社が視野を広げることでもっとたくさんの喜びを人々に提供できるのではないかとの思い。裏返せば、読書を本当に必要とする方々の声に応えきれていないのではないかとの反省。そこから構想したのが「読書百景」です。

 当面は読書バリアフリーに関連した情報発信を軸としつつ、小学館学芸チームのオウンドメディアとして、自社本の紹介なども充実させていく予定です。私たちとともに、これからの読書のありかたを広く、深く、そして自由に考えていただければ幸いです。

「読書百景」編集長
柏原航輔